SUAMA LAB

日々学んだこと、主に科学一般やプログラミング、ライフハックについて発信していきます。

MENU

医薬品開発①:医薬品開発の歴史と概要

こんにちは、すあまです。

今日は、医薬品開発の流れについて書いていきたいと思います。

書く前にあらかじめ断っておくと、創薬は非常に複雑な分野です。医薬品産業全体について知識を十分に得ようとすると、その内容は非常に膨大になります。

そのため、このページではまず「医薬品開発の歴史」と「現在の医薬品開発の全体像」について説明します。

次回以降の記事で、それぞれの流れにおけるルール(法律や省令)や実際に必要となる知識について説明していきたいと思います。

私自身もまだまだ至らぬ点が多いと思うので、一緒に勉強するつもりでこのページを見ていただければ幸いです。

それでは、医薬品開発の流れについて書いていきたいと思います。

1.1医薬品開発とは

まず、医薬品開発の流れについて説明する前に、「医薬品とは何か?」ということをハッキリさせておかなければなりません。

1.1.1.医薬品の定義 

医薬品は国の法律によって定められています。

日本では、「医薬品医療機器等法」という法律によって明確に定められています。(この法律については後で説明するので、今はそのような法律があるという認識で大丈夫です。)

この医薬品医療機器等法の定義によると

(定義)第二条 この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。
第一号 日本薬局方に収められている物
第二号 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具、歯科材料、医療用品及び衛生用品(以下「機械器具等」という。)でないもの(医薬部外品を除く。)
第三号 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具等でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。)

というのが医薬品の定義のようです。

少し文章が固いので、ひとつずつ解説していきます。

まず第一号の「日本薬局方に収められている物」ですが、日本薬局方は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第41条により、医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めた医薬品の規格基準書です。つまり、「日本薬局方という『リスト』に載っているものは医薬品だよ」ということです。

しかし、それだけだと「じゃあそのリストに載ってるものってなんやねん?」となるので他にも説明があります。

そこで、第二号は「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具、歯科材料、医療用品及び衛生用品(以下「機械器具等」という。)でないもの(医薬部外品を除く。)」と説明、第三号では「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具等でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。)」。

これらに関して簡単に説明すると

  1. ヒトや動物の病気の予防、診断、治療のどれかに使うためのもの
  2. ヒトや動物の構造や機能に影響するもの
  3. 機械や歯科材料などではないもの

以上の3つの条件を満たしているものが医薬品である、ということです。日常の中で使ている医薬品について考えてもらうと、病気(もしくは何らかの不調)の治療や予防などのために使っているはずです。また、これらの医薬品はそれを服用した人のどこかに作用して病気や不調を治す(もしくは軽減させる)ような働きをしています。そして、注射器や補聴器なども病気に使われますが、これらは医療機器であって医薬品ではないので3番目の条件が書かれています。

以上が法律によって定められた医薬品の定義です。

一応、上で紹介した医薬品医療機器等法についても説明しておきます。

医薬品医療機器等法:医薬品の生産及び流通について定められている法律
正式名称は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
医薬品医療機器等法は公式略称であるが、さらに縮めて「医薬品医療機器法」、「薬機法」と略されることもある。
昭和35(1960)年8月10日法律第145号

ここまで、法律や定義の話をしてきました。次に医薬品がどのような特徴を持つのかということについて書いていきます。

1.1.2.医薬品の特徴

ここでは、医薬品の特徴を紹介していきたいと思います。2つの特徴を見ながら「こんな特徴を持っているものが医薬品なのか」と思っていただけたら幸いです。

a.医薬品は疾患の治療に有効な作用(主作用)と同時に望ましくない作用(副作用)を示すものがある

まず、前の項で説明したように医薬品は「ヒトや動物の病気の予防、診断、治療のどれかに使うためのもの」という定義があります。つまり、ヒトや動物に対して行ってほしいはたらき(作用)があるということです。

このような、目的となる作用のことを主作用といいます。

一方、医薬品には「ヒトや動物の構造や機能に影響するもの」という定義もあります。そして、その影響は狙ったところにのみ働くだけではなく、予期していない(もしくは目的としていない)ところに及びます。

このような、目的と異なる作用のことを副作用といいます。

以上のように、医薬品には有効な作用(主作用)と望ましくない作用(副作用)があります。

b.医薬品は品質、有効性、安全性の3要素を一定のレベルで満たす必要がある。

新薬となる候補化合物が規制当局(日本では厚生労働省)によって製造販売することが承認され、医薬品として社会に認められるためには

  1. 品質(Quality)
  2. 有効性(Efficacy)
  3. 安全性(Safety)

の3要素を一定のレベルで満たす必要があります。

 まず、一定の品質を保っていないと、本来の有効性や安全性を保持することができません。また、有効性を示さない医薬品は、そもそも医薬品としての意味がありません。そして、安全性が基準を満たしていない医薬品は、有効性を示すものであったとしても患者さんに対して悪影響を及ぼしてしまいます。

そのため医薬品は、上記に挙げた3要素を満たしている必要があります。

ここまで、医薬品開発における医薬品とはどのようなものなのかについて説明してきました。次の項では医薬品開発と医薬品開発に対する規制の歴史について説明していきます。

1.2医薬品開発と規制の歴史

本項では、医薬品開発と規制の歴史について説明します。

医薬品開発がかつてどのように行われていたのか学ぶことで、現在の医薬品開発に対する規制がなぜ必要なのかを知っていただければと思います。

1.2.1医薬品開発の歴史と変遷

a.医薬品開発の起源

医薬品の歴史は、天然に存在する植物、動物、鉱物等から薬効のあるものを経験的に見つけ出し、そのままの形で利用することから始まりました。

人類が薬草等を病気の治療に利用していた記録としては世界四大文明が興っていた紀元前2000年ごろのものが最古です(諸説あり)。

しかし、有史以前から薬草等の利用は始まっていたものと考えられます。

もともと医療は宗教と深く結びついており、呪術等と併用される形で、天然物がそのまま、もしくは煮る、焼く、煎じる、乾燥する等の簡単な加工を施して、薬として利用されていました。

b.医薬品開発手法の大きな変革につながる技術の基礎をもたらした錬金術の取り組み

錬金術の取り組みは、物質の抽出、単離、精製といった科学の基本操作の発達をもたらしました。

その結果、薬草等から有効成分だけを抽出し、純度の高い物質に生成し、医薬品として利用できるようになりました。

20世紀に入ると有機化学の発展により、天然には存在しない化学物質の合成が盛んに行われるようになりました。

化学構造からその物質の薬理作用を推定して候補物質を絞り込むための構造活性相関の研究も進められました。

c.近年の医薬品開発

従来、医薬品開発には化学を応用した技術(低分子化合物の合成)が主に用いられていたのに対し、近年は医薬品開発においてバイオテクノロジー(生物学の発展によって得られた技術)が応用されるようになっています。
医薬品開発にバイオテクノロジーが応用された例として、

などが挙げられます。

このほかにも、中分子医薬品や再生医療等製品などの開発も行われるようになってきています。これらの治療手段のことをモダリティといいます。モダリティに関しては別の記事でさらに詳しく解説します。

本項では、すでに盛んにおこなわれている遺伝子組み換え技術、ゲノム創薬、抗体医薬についてどのようなものか説明します。

遺伝子組み換え技術

遺伝子組み換え技術は、生物の「設計図」にあたる遺伝子を組み替える技術である。
医薬品開発においてこの技術を用いることで、人工的に作ることが難しい複雑な物質(タンパク質)を大腸菌などの微生物に大量生産させることができる。
これにより、ホルモン製剤(糖尿病に用いるインシュリンなど)等の効率的な生産を行うことができる。

ゲノム創薬

従来、医薬品開発は研究者の経験や類似の病気に対する薬剤の情報等をもとに膨大な種類の候補化合物を合成し試験するという手法が一般的であり、実用化に至るまでに長い期間と労力を要してきた。
それに対し、2003年にヒトゲノム計画(ヒトの遺伝子の全配列を解読しようという複数の国家によるプロジェクト)が完了し、様々な研究によってそれぞれの遺伝子の役割も少しずつ明らかになってきた。
それらの情報を活用する技術が急速に発達した近年では、病気と関連する遺伝子を特定しその遺伝子や、コードされているタンパク質をコントロールできる薬の開発を行う方法が主流になってきている。
このような医薬品開発の手法をゲノム創薬という。

抗体医薬品

抗体とは、病原体などが体内にはいったとき、それと特異的に反応する物質として体内に生ずるものの総称である。
この抗体を医薬品に応用したものが抗体医薬品で、抗体の物質に対する特異性を活かして薬のターゲットとなる部分に得意的に作用させることができるという利点を持っている。
そのため、従来の医薬品と比較して高い治療効果と副作用の軽減が期待できる。

 

d.医薬品開発の歴史と変遷まとめ

医薬品開発は天然に存在するものを経験的に用いていた時代から様々な技術革新を経て現在までの歴史を歩んできました。
医薬品の開発に携わる人々は、昔からの開発手法と新しく生み出される科学技術を組み合わせて活用していくことで現在までの医薬品産業の発展を支えています。

1.2.2評価手法の発展

医薬品開発の歴史で紹介したように、もともと医薬品は天然物を利用することから始まりました。
そのため、医薬品開発の歴史には数々の試行錯誤がありました。
たとえば、古代中国では不老長寿の薬として水銀が用いられていました。その毒性によって、もしかしたら命を落としたものもいるかもしれません。

これに対し19世紀頃から、化学分析技術の発展により、品質の評価が化学的に行われるようになりました。

冒頭で、「医薬品は品質、有効性、安全性の3要素を一定のレベルで満たす必要がある」という説明をしました。この時代、医薬品の品質に関してはある程度の基準が設けられていた一方、その有効性と安全性に関しては未だ経験則に基づいていました。

しかし、20世紀に入ってから化学合成技術を駆使した新薬の数々が開発されるようになり、それらの新薬の有効性や安全性を客観的に評価する手段が必要とされるようになりました。

これらの流れに伴い、新薬の非臨床試験(動物などを用いる試験)や臨床試験(実際に新薬の候補を人に投与する試験)の手法が生み出され、先進国では規制当局(アメリカにおけるFDA、日本における厚生労働省など)による医薬品の承認審査が制度化されました。

1.2.3医薬品の安全性試験の発展

医薬品の評価の厳格化を一気に加速させた出来事として、サリドマイド事件が知られています。医薬品の安全性評価制度のに対し、非常に大きな影響を及ぼした事件なので、興味のある方は自身で調べてみるのもよいかもしれません。

下記に概要を載せておきます。


サリドマイド事件は、戦後の経済成長期であった1960年前後に、サリドマイドという医薬品の副作用により、世界で約1万人の胎児が被害を受けた薬害事件である。この薬には、妊娠初期に服用すると胎児の発達を阻害する副作用があった。被害児の多くは命を奪われ(死産等)、あるいは四肢、聴覚、内臓などに障害を負って生まれた。わが国では、世界で3番目に多い約千人(推定)が被害に遭い、生存した309人が認定されている。
サリドマイドは、1957年、旧西ドイツで鎮静・催眠薬として開発され、日本では翌58年に1時間半の簡単な審査で承認された。一方、米国では胎児への影響に関するデータがないとの理由で許可されなかった。発売後は安全な医薬品と宣伝され、妊婦のつわり止めにも用いられて(日本では胃腸薬にも配合)、被害が多発した。
1958年以降、新しいタイプの奇形の子どもが次々と生まれ、61年11月、ドイツのレンツ博士の調査によりサリドマイド剤が原因と疑われると警告された(レンツ警告)。欧州各国では直ちに薬が回収されたが、日本では62年9月まで何の対策も取られず、この対策の遅れ(行政の不作為)により被害が倍増した。被害児の親たちは、薬害の再発防止を願い訴訟に踏み切った。製薬企業と国が責任を否定して争った裁判は10年に及んだが、74年に被害者の主張を全面的に認めた和解が成立し、被害者の福祉センターとして財団法人いしずえが設立された。


1950年代後半から1960年代前半にかけて発生したサリドマイド事件は全世界に衝撃を与え、催奇形性(妊娠中の子供が奇形児となる毒性)、遺伝毒性、発がん性等の安全性試験導入のきっかけとなりました。

また、米国食品医薬品局(FDA)は、1962年以降の医薬品の承認申請において、客観的で定量的な有効性判定基準に基づく比較対照試験(医薬品を投与した人とそうでない人の予後を比較するような試験)の実施を義務付けました。

その後、ICH(医薬品規制調和国際会議)等による検討に基づき、評価手法の改良・発展が進められ、現在に至ります。

承認申請前の臨床試験等によって得られる有効性・安全性に関する情報には、症例数、試験期間、被験者の範囲等の制約から限界があることが認識されており、医薬品は発売後に広く医療現場で使用されるようになった段階での有効性・安全性の評価も実施されています。

それでは、医薬品の品質や有効性、安全性を評価するための手法について定めているICH(医薬品規制調和国際会議)とはそのような機関なのか説明します。

1.2.4ICH(医薬品規制調和国際会議)

まず、ICHの概要について説明します。

ICHとは、International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use(医薬品規制調和国際会議)の略称です。
 ICHは、医薬品規制当局と製薬業界の代表者が協働して、医薬品規制に関するガイドラインを科学的・技術的な観点から作成する国際会議で、他に類がない場となっています。ICHは、1990年の創設以来、グローバル化する医薬品開発・規制・流通等に対応するべく、着実に進化を遂げてきました。ICHの使命は、限られた資源を有効に活用しつつ安全性・有効性及び品質の高い医薬品が確実に開発され上市されるよう、より広範な規制調和を世界的に目指すことです。
 2015年10月23日、ICHはスイス法人化に伴い、組織再編をしました。その結果、現在のICHは、全ての参加メンバーで構成され法人の主体となる総会(Assembly)、総会での議論の準備や法人の運営を担う管理委員会(Management Committee)、専門家がガイドラインの議論を行う各作業部会(Working Group)等から成り立っています(図1)。

f:id:suama14:20200316121246p:plain

図1.ICHの組織図

新しい医薬品のスムーズな普及をするためには、それぞれの国(地域)ごとに異なる医薬品の承認基準が課題です。

それぞれの国(地域)ごとに異なる申請資料を作成しなければならないなどの理由によって新薬の普及が遅れるようなことを避けるため、各国の承認審査制度や承認基準を国際的に調和する必要があります。

このような目的を達成するために、ICHという組織が1990年に設立されました。
ICHは現在日本、アメリカ、EUの規制当局と製薬団体などを中心に構成されており基準を満たす規制当局や製薬団体も新たに加盟することができます。

ICHで議論される内容は、品質、安全性、有効性および複合領域の4つの領域に分類されます。

各トピックにはQ、S、E、Mの頭文字、各領域内での番号及びその中の細かい項目を表すアルファベットを組み合わせたコードが割り当てられ、そのトピックごとに規制当局、製薬業界、大学等の研究者で構成される作業部会(WG:Working Group)が設置されます。

各々のWGはガイドライン案を作成、検討し、その進捗状況を管理委員会に報告します。

管理委員会はICH全体の進捗状況の管理や分野間の調整、総会が決めなければならない事項以外の決定等を行います。

進捗状況は下記の表のようにステップ1〜5の5段階で示され(表1)、2016年11月現在、78のガイドラインがステップ5に到達し、各国における国内規制に取り入れられています。

表1.ICHガイドラインの合意までのステップ

ステップ1 新しい調和ガイドラインを作成する提案が新しいトピックとして総会により承認を受けると、専門家作業部会が設置されます。専門家作業部会では協議を重ねて技術ドキュメント(ガイドライン案のベース)を作成します。
ステップ2
ステップ2a: 技術ドキュメントの確認
ステップ1の技術ドキュメントが総会で承認されるとステップ2aとなります。
ステップ2b: ガイドライン案の採択
ステップ2aの技術ドキュメントをベースにしたガイドライン案が総会の規制当局代表者により承認されるとステップ2bとなります。
ステップ3 ICHの各地域・国の規制当局(日本では厚生労働省)からガイドライン案が公表され、公に意見が求められます。寄せられた意見に基づいて専門家作業部会で協議が行なわれ、ガイドライン案が修正されます。
ステップ4 ガイドライン案が総会の規制当局代表者によって最終的に合意、採択されるとステップ4となります。
ステップ5 ICHの各地域・国の規制当局において、それぞれの手続きにしたがってガイドラインが実施されます。
日本では、厚生労働省医薬・生活衛生局から通知されます。

1.3医薬品開発の全体像

• 新薬の開発プロセスを図1.3.1に載せます。

• 図に示したように、医薬品開発には数多くのステップがあり、1つの新薬の開発には、期間として9〜17年、費用として500〜1000 億円要すると言われています。

医薬品開発は非常に長い期間と莫大な資金が必要であり、規制も厳しく設定されているため、様々な専門性を持った人たちが協力して取り組む必要があります。

f:id:suama14:20200317180201p:plain

図1.3.1 医薬品開発の流れと主な規制・制度



1.3.1新薬開発プロセス

①新薬の開発は、有効成分となる化合物の探索から始まります。

化合物の探索には

  • 動植物や微生物等の天然物からの単離
  • 化学合成
  • 遺伝子組み換え

などの場合があります。

②化合物の探索ではスクリーニングによって候補物質の中から絞り込みが行われます。

絞り込んだ候補物質について

  • 物理化学的な性質
  • 精製方法

などに関する研究を行います。

③常に均質で安定した形で候補物質を供給するために剤形、投与経路を検討します。

④その後、非臨床試験によって新薬の安全性、有効性、品質の厳密な検証が行われます。

 非臨床試験では実験動物を用いて

  • 候補物質の安全性
  • 候補物質の薬物動態(体内での動き)
  • 候補物質の薬理作用について調べられる。

非臨床試験により、臨床試験へ進むか否かが判断されます。

非臨床試験をクリアした新薬候補を用いて臨床試験が行われます。

臨床試験は主に3つの段階があります。

  1. 有害作用が現れない最大投与量や薬物動態を調べる「第Ⅰ相試験」 有効性と安全性のバランスが
  2. 取れた投与量を探索する「第Ⅱ相試験」
  3.  二重盲検比較試験により有効性と安全性を検証する「第Ⅲ相試験」

⑥製薬企業は品質、有効性、安全性について収集した資料を添付して、厚生労働大臣医薬品医療機器等法に基づく製造販売承認申請を行います。

⑦ 承認が得られれば、製造販売することができます。

以上が医薬品開発の大まかな流れです。


1.3.2GP基準の基本要件

医薬品開発には、新薬候補の有効性・安全性・品質を保証するための様々な規制があります。 

医薬品開発に関する基準は、G(good)とP(practice)の間に文字を挟んだものが多いため、GXP、GP基準などと呼ばれます。

医薬品分野におけるGP基準の起源はGMPであり、アメリカにおいて最初に提唱されました。

日本のGP基準を下に載せます(図1.3.2)。

 

f:id:suama14:20200419174935p:plain

図1.3.2 日本におけるGP基準(出典元:STNet)

このように、医薬品開発はそれぞれの段階において規制をされており、これらのルールに従って進めていく必要があります。

そのため医薬品開発に携わる人には、医薬品などに対する専門性と規制に対する知識が求められます。


1.4.まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は、医薬品開発の歴史と概要について説明しました。

医薬品開発は様々な要素が含まれた複雑なものなので、一つずつ解説していくことによって読んでくださった方が医薬品開発に対する理解を少しでも深めていただければ幸いです。

また、私も医薬品開発はまだまだ初心者なのでご意見・ご感想がありましたら送っていただけると幸いです。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございます!