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心臓発生の特徴

こんにちは、すあまです。

今回は「心臓発生の特徴」というテーマを書いていきたいと思います。自分の体にある心臓が生物の体の中でできるときにどんな特徴を持っているのか、皆さんに知っていただけると嬉しいです。

 

心臓の発生の特徴

この記事では以下の3つの特徴について説明していきます。

  • 心臓への分化は非常に早い段階で起こる
  • 心筋細胞は分化と増殖を両立している

  • 出生すると分裂能を失う

心臓への分化は非常に早い段階で起こる

心臓は個体が発生する際、非常に早い段階で臓器としては最も早く発生し、すぐに自律拍動を開始します。

そして、体液が生体内で循環するようになって初めて他の臓器の文化や成長が進みます。

つまり、心臓は、生物の中で血液を循環させるという非常に重要な役割を担っていますが、この機能がほかの臓器の発生にも貢献しているということです。

心臓の発生の過程に関しては非常に多くの研究が行われていますが、まだその全貌を解明するには至っていません。しかし、その過程を明らかにすることが医療の応用などにつながっているので非常に重要な研究分野となっています。

心筋細胞は分化と増殖を両立している

2つ目の特徴は生物の体内で発生した心臓を構成する細胞が分化と増殖を両立しているという特徴です。

まず前提知識として、分化と増殖について紹介します。

まずはそれぞれの言葉の定義です。

分化
ぶんか
differentiation

生物の細胞分裂増殖し,成長する間に互いに構造や機能が特殊化する現象。一般的には比較的単一の系が,2つ以上の質的に異なる部分系に分離する現象をいう。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

増殖
ぞうしょく
proliferation

 
細胞が分裂して同質のものがふえることをいう。個体数のふえるのは通常,生殖 reproductionとして区別する。また多細胞生物の体内で細胞がふえていくことや,また細胞内で細胞質が新生していく場合には成長 growthとして区別するが,細胞がふえるという点からみると,多細胞生物発生期分化が起らない時期には,増殖といっても同じである。細胞が増殖して,ある時期に達すると形質が変化していく (分化) ように,制御されているのが常である。また細胞が独立して生活している場合でも,増殖は無限に続くことはなく,自然環境のなかで一定の平衡状態を保っている場合が多い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

 

 簡単に言うと、分化は細胞が機能を持つようになることで、増殖は細胞が分裂して増えていくことです。

多くの組織では分化する細胞と増殖する細胞が分かれており、増殖する未分化な細胞の一部が機能を持った細胞へと分化するという形式になっています。

しかし、発生段階における心臓では収縮と弛緩によって体液を循環させる機能を持った心筋細胞が分裂を続けているという極めて珍しい状況が起きています。

生物のサイズが大きくなるのに合わせて循環させる体液の量が増えるのにこの特徴は役立っているのですが、どういう仕組みでこうなっているのか不思議ですよね。

出生すると分裂能を失う

3つ目の特徴は心筋細胞は出生すると分裂して増殖する能力を急激に失うことです。

それに伴って心筋細胞内で発現するタンパク質が胎児型から成人型となり心臓が成熟していくのですが、この特徴によって、一度損傷を負った心臓は完全には回復せず移植などに頼らざるを得なくなります。とはいえ、生まれる前にできた心筋細胞がヒトの場合は寿命まで数十年、長い場合は100年以上動き続けるのは非常にすごいことです。

しかし、近年では心筋が生まれて後も分裂できる能力を持っていることを示唆する論文なども出てきているので、今後の展開に期待したいです。

まとめ

いかがだったでしょうか、今回は心臓発生の特徴というテーマをご紹介しました。非常に身近な心臓の不思議について興味を持っていただけたら嬉しいです。

心臓に関する論文もご紹介していけたらと思いますので、是非お付き合いください。