こんにちは、すあまです。
今回は実験日記の記事です。前回の実験日記はニワトリ胚の脚の筋肉から細胞を単離して培養する実験でした。(下にリンクを貼っておきます)
この実験では骨格筋からとってきた細胞を培養したにもかかわらず、それらしい形態(筋肉細胞特有の細胞融合による多核化など)がみられませんでした。
そこで、前回の実験で培養した細胞を用いて今回の実験を行いました。
実験の目的
ニワトリ胚骨格筋由来細胞が骨格筋細胞(筋管細胞)に分化する簡便な条件を明らかにする。
仮説
骨格筋細胞に分化している細胞集団の培養上清を分化していない細胞集団に添加したら骨格筋細胞への分化が促進される。
実験方法
- 7日間培養したニワトリ胚骨格筋由来細胞(1)のディッシュを2枚と7日間培養したニワトリ胚由来骨格筋細胞のディッシュ(2)を1枚用意した。
- 培地交換の際に(1)の片方に(2)の培養上清を1mL添加した。
- 1日おきに2の操作を行った。
- 倒立型位相差顕微鏡で細胞の観察を行った。
実験結果
実験開始24時間後
実験開始72時間後
実験開始168時間後
実験開始240時間後
考察
- コントロールと培養上清添加したディッシュの間に細胞形態の有意な差は見られなかった。
- コントロールと培養上清添加したディッシュの間に細胞数の有意な差は見られなかった。
- コントロールと培養上清添加したディッシュともに多核の筋管の形成は実験開始後240時間(培養開始から合計300時間以上)見られなかった。
- コントロールと培養上清添加したディッシュともに繊維芽細胞、神経様細胞、結合組織様細胞が観察された。
感想
今回の実験ではニワトリ胚骨格筋から単離した細胞を培養しました。
しかし、培養開始から300時間以上経過したにもかかわらず筋管の形成は観察されませんでした。
今回の実験では、予め筋管を形成している細胞集団の培養上清だけでは骨格筋細胞への分化誘導をできないことが示唆されました。
しかし、同じ細胞溶液を高濃度で播種したものは筋管の形成が観察されたため今後は骨格筋由来の細胞を異なる濃度で播種した時の影響を調べていきたいと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか、今回はニワトリ胚骨格筋由来細胞の培養というテーマで紹介しました。
次回以降も様々な実験を紹介していきたいと思いますので引き続きお付き合いいただけると幸いです。
また、ご意見ご質問等も絶賛募集中なのでよろしくお願いします。