こんにちは、すあまです。
今回はニワトリ胚の筋芽細胞を用いた実験について、プロトコルを紹介していこうと思います。
- ニワトリ胚由来の筋芽細胞をどのように単離、培養するのか
- ニワトリ胚由来の筋芽細胞の培養について、どのプロトコルで何を評価することができるのか
上記について、この記事で紹介していきたいと思います。
①ニワトリ胚由来筋芽細胞の単離
- ニワトリの受精卵を35℃で胚芽10日目まで培養した。
- 10日胚から大胸筋を取り出し,ミンチにして0.25%のトリプシンを含むハンクス平衡塩水溶液中で37°C,5% CO2で30分間培養した。
- トリプシン処理したサンプルは、濾紙で濾過し、遠心分離した。
(この手順を3回繰り返し、筋肉の残骸を除去した。) - 細胞を10%FBSを含むDMEMに再懸濁した。濃度は3*10^5個/mlとした。
- 線維芽細胞を除去
(分離ステップを3回繰り返し、代表的な培養物をデスミンの存在で染色した。) - デスミン染色後、細胞培養物中の筋芽細胞の割合を計測した。
- すべてのニワトリの細胞培養物は、分離後5日以内に使用した。
②細胞増殖アッセイ
- 培養細胞を4%パラホルムアルデヒドで5分間固定した。
- 細胞の核を4,6-ジアミノ-2-フェニリドンで染色した。
- 細胞を洗浄し、観察した。
- 各フィールドについて画像解析システムImage Pro plusを用いて核の数をカウントした。
- 1ディッシュにつき10フィールドをカウントし、各条件に3ディッシュを使用した。
③クレアチンホスホキナーゼ活性の測定
クレアチンホスホキナーゼは心筋、骨格筋、平滑筋にある酵素で、この濃度を計測することにより、培養した筋芽細胞の筋細胞への分化の程度を定量的に評価することができます。
- 前述の方法で細胞を培養し、分化させた。
- まずフラスコを0.1Ìg/mlのコラーゲンI、コラーゲンIV、ラミニン、フィブロネクチン、ウシ血清アルブミン(BSA)のいずれかで1時間コーティングした後、洗浄した。
- 細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した後、2mlのPBS存在下でフラスコの表面から掻き出した。
- この細胞懸濁液を 1分間ホモジェナイズ。
- タンパク質の定量は,BCA protein 決定キット(Pierce, Rockford, Ill., USA)を用いて行った。
- メーカーの指示に従い、細胞懸濁液0.1mlをクレアチンホスホキナーゼ(CPK)のバイアル1本に加え、 3mlの蒸留水で希釈した。
- この混合物を数回反転させた後、キュベットに移した。
- 5分後、340nmのベースライン値を記録した。
- 5分後に2回目の340nmの測定を行った。
- 最初の測定値と最後の測定値の差を用いて、サンプル中のCPK活性を算出した。
④Sarcomeric Actin産生の測定
この実験ではアクチンという、筋繊維に含まれているタンパク質の産生量を定量的に計測することで、分化した筋細胞がどれくらい成熟しているかを評価することができます。
- 細胞をコンフルエントになるまで培養し、筋管形成を促した。
- 細胞をPBSでリンスした後、mlのPBSの存在下でフラスコの表面から掻き取った。
- 細胞懸濁液を1分間ホモジェナイズし、 1mlの溶液をサンプルバッファーで1:1に希釈した。
- 蛋白質の測定(上述の通り)の後、各サンプルのタンパク質濃度を同じ値に調整した。
- 10 μgのタンパク質を含む細胞懸濁液4 μLを、 ドットブロットによりニトロセルロースフィルターに塗布した 。
- その後、膜をトリス緩衝生理食塩水(TBS)に溶かした3%の牛乳で1時間ブロッキングした。
- その後、ブロットをTBSで十分に洗浄し、アルカリホスファターゼ標識二次抗体をTBSで1:10,000に希釈したものを用いて、室温で1時間インキュベートした。
- TBSで十分に洗浄した後、タンパク質スポットを5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸/ニトロブルーテトラゾリウムを用いて可視化した。
- ドットブロットはNIH Image (Wayne Resband, NIH, Bethesda, Md., USA, プログラムは次のサイト( zippy.numh.nih.gov )からftpで入手可能) を用いて分析した。
以上が今回紹介したかった実験プロトコルになります。
自分はこんな実験でやっている、このような場合はどんな実験をすればいいのか等、ご意見・ご質問があればご連絡いただけると幸いです!
最後までお読みいただきありがとうございました!