SUAMA LAB

日々学んだこと、主に科学一般やプログラミング、ライフハックについて発信していきます。

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科学的に正しい目標設定の原則

こんにちは、すあまです。

今日では目標設定などに関する研究が、心理学や脳科学などの複数の分野で研究されています。

そのような状況の中で個人の成功体験やビジネスにおける経験則に基づいた計画術ではなく、現状においてもっとも科学的に効果的である実証された目標設定の方法が「MACの法則です。

目標達成に効果的な「MACの法則」

MACの法則とは、

  • Mesurable:目標の達成基準が測定可能であること
  • Actionable:目標の達成に向けたプロセスが具体的な行動であること
  • Competent:目標の達成が自身の価値観と一致していること

上記の3つを満たすことが目標の達成に効果的である。という法則です。

何か目標を立てて、具体的に計画の作成に入る前にMACの法則に照らし合わせ、その目標設定が科学的に正しいかどうか確認してみましょう。

たとえば、私の場合は「ブログによって自分の知識をアウトプットする」という目標があります。

この目標をMACの法則に照らし合わせて考えてみると、

M:月間の記事投稿数、継続できている日数、投稿の頻度などを数値化する。

A:月間の記事投稿数、継続できている日数、投稿の頻度などの目標を達成するための自分の行動を具体的にする(例:記事を書く時間を決める、記事のテンプレートを決めるなど)。

C:上で決めた目標が自分の価値観とあっているか(つまり、達成することが喜ばしいことかどうか)確かめる。

といった流れになります。

MACの法則の優れた特徴

MACの法則の最大の長所は計画の時点で目標を達成するために障害となりうる「行動のハードル」を下げることにあります。

たとえば、何か目標を立てた際に『「目標を立てたはいいけど、具体的にどうやって達成したらいいんだろう?」といった状態になり、そのままめんどくさくなって諦めてしまった。』みたいな経験をしたことのある方はいませんか?

これは目標を立てた際に、その目標が明確でなかったり行動が曖昧であったりしたために、実際に行動することになった際に具体的な方法を考えることになり、面倒になってしまうことが原因です。

MACの法則は目標設定の時点でこのような手間のかかる作業をやってしまえるため、計画を立てた後は「実際に手を動かすだけ」の状態となり、行動のハードルを下げることができます。

MACの法則でCompetentを考える理由

前の節で目標達成のために数値化と具体化が行動のハードルを下げることに役立つことは説明しました。

それでは、「Competent(目標の達成が自身の価値観と一致していること)」について考えることは目標達成にどのように役立つのでしょうか?

結論から言うと、Competentについて考えることは長期的なモチベーションの維持に役立ちます。

たとえば、受験勉強を例として考えてみましょう。受験勉強はテストの点数によって点数が決まるので目標を数値にしやすいです。また各教科の出題範囲も決まっており、過去問などによって出題の傾向もわかるので行動を具体的に決めることもそれほど難しくないと思います。しかし、Competentの部分について考えてみると、「テストで良い結果を出していい大学に行くことが自分にとって本当に喜ばしいのか、またなぜ喜ばしいのか?」という疑問に対して明確な答えを持って受験勉強に取り組むことができていた方は少ないのではないでしょうか?

しかし、この部分に関して明確な答えを持っていないと目標達成までの期間が長くなるにつれて、モチベーションを保つのが難しくなってしまいます。

そのため目標設定を行う際は、

  • Mesurable:目標の達成基準が測定可能であること
  • Actionable:目標の達成に向けたプロセスが具体的な行動であること
  • Competent:目標の達成が自身の価値観と一致していること

という3つの項目について考えることで実際の行動に対するハードルを下げ、長期的なモチベーションを保ちやすくすることによって目標を達成しやすくしましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は科学的に正しい目標設定の原則について紹介しました。

今後もいろいろな記事を上げていくのでよろしくお願いします。

 

習慣化のための20秒ルール

こんにちは、すあまです。

新しい試みで、雑記もあげていくことにしました。とにかく書くことへのハードルを下げることが目的です。

この記事を読んでくださっている方の中にも、やるべきことをつい後回しにしてしまったり、テレビなどを見たい番組があるわけでもないのについ見続けてしまっていることがあるのではないでしょうか?

このような場合にお勧めしたいのが「20秒ルール」です。

「20秒ルール」とは、やるべきことはそれができるように準備する時間を20秒短くできるように工夫し、逆に辞めたいことに関しては準備にかかる時間を20秒のばす、というものです。

私は最近、大学院の修士論文に追われているのでそれを進めるためにワードなどのソフトをパソコンのスイッチを入れてからすぐに起動できるように工夫したり、途中で遊ばないように誘惑の多いスマホを取り出しにくいところに置くようにして工夫しています。

以上の例のように工夫はどんなに小さなものでもよいので、すこしでも良い習慣を行いやすくし、悪い習慣を行うハードルを上げることの積み重ねが良い結果につながります。

シンプルなのでぜひ試していただけたらと思います。

ニワトリ胚の全細胞培養③

こんにちは、すあまです。

今回は先日紹介したニワトリ胚の全細胞培養の第3弾です。

下記にリンクを張っておくのでまだ読まれていない方はぜひ最初からお読みください。

suama14.hatenablog.com

今回は培養開始から240時間後(10日目)と336時間後(14日目)における細胞の様子を観察しました。

結果③:培養開始から10日後、14日後

培養開始10日後

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培養開始10日後 コントロール

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培養開始10日後 コントロール

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培養開始10日後 プラズマ処理①

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培養開始10日後 プラズマ処理②

 培養開始10日後の段階で今まで見られなかった細胞の剥離が観察されました。

コントロールでは肉眼で観察できるほど大規模な細胞の剥離が観察されましたが、プラズマ処理を行ったディッシュでは細胞の剥離が少なく顕微鏡で観察した際に気づく程度でした。

培養開始14日後

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培養開始14日後 コントロール

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培養開始14日後 コントロール

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培養開始14日後 プラズマ処理①

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培養開始14日後 プラズマ処理②

プラズマ処理を行ったディッシュのほうでも顕著な細胞の剥離が観察されました。

コントロールのディッシュでは非常に多くの死細胞が観察された一方でまだディッシュで増殖を続けている細胞が観察されました。

考察&結論

今回の実験ではニワトリ胚由来の全細胞培養をノントリのディッシュとプラズマ処理をしたディッシュ上で行いました。

その結果以下のことがわかりました。

  • コントロール、プラズマ処理の両方の条件において細胞の培養を行うことができた。
  • コントロール、プラズマ処理の両方の条件において繊維芽細胞以外に肝細胞のような形態を持つ細胞を観察することができた。しかし、培養10日目の時点で線維芽細胞によってディッシュが埋め尽くされた。
  • コントロール、プラズマ処理の両方の条件において1週間後に100%コンフルエントの状態になった。
  • コントロールの条件において10日目に細胞の剥離が肉眼で観察された。
  • プラズマ処理の条件において、細胞の剥離が10日目に顕微鏡で観察され、14日目に肉眼で細胞の剥離が観察された。

これらのことからニワトリ胚由来の細胞をノントリのディッシュにおいて培養できるが14日ほどで細胞が剥離してしまうことがわかりました。

今後は細胞の剥離を防ぎながら培養を継続する方法を探索したいと思います。

また、今回観察された肝細胞のような細胞が毎回現れるのか、また、それがなんの細胞なのかを調べる方法を考えていきたいと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか、今回はニワトリ胚の全細胞培養というテーマで紹介しました。

今後も様々な実験を挙げていきたいと思いますのでお付き合いいただけると幸いです。

 

ニワトリ胚骨格筋由来細胞の培養②

こんにちは、すあまです。

今回は実験日記の記事です。前回の実験日記はニワトリ胚の脚の筋肉から細胞を単離して培養する実験でした。(下にリンクを貼っておきます)

suama14.hatenablog.com

この実験では骨格筋からとってきた細胞を培養したにもかかわらず、それらしい形態(筋肉細胞特有の細胞融合による多核化など)がみられませんでした。

そこで、前回の実験で培養した細胞を用いて今回の実験を行いました。

実験の目的

ニワトリ胚骨格筋由来細胞が骨格筋細胞(筋管細胞)に分化する簡便な条件を明らかにする。

仮説

骨格筋細胞に分化している細胞集団の培養上清を分化していない細胞集団に添加したら骨格筋細胞への分化が促進される。

実験方法

  1. 7日間培養したニワトリ胚骨格筋由来細胞(1)のディッシュを2枚と7日間培養したニワトリ胚由来骨格筋細胞のディッシュ(2)を1枚用意した。
  2. 培地交換の際に(1)の片方に(2)の培養上清を1mL添加した。
  3. 1日おきに2の操作を行った。
  4. 倒立型位相差顕微鏡で細胞の観察を行った。

実験結果

実験開始24時間後

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実験開始24時間後 コントロール

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実験開始24時間後 培養上清添加

実験開始72時間後

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実験開始後72時間後 コントロール

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実験開始後72時間後 培養上清添加

 実験開始168時間後

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実験開始168時間後 コントロール

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実験開始168時間後 コントロール

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実験開始168時間後 培養上清添加①

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実験開始168時間後 培養上清添加②

実験開始240時間後

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実験開始240時間後 コントロール

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実験開始240時間後 コントロール

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実験開始240時間後 培養上清添加①

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実験開始240時間後 培養上清添加②

考察

  • コントロールと培養上清添加したディッシュの間に細胞形態の有意な差は見られなかった。
  • コントロールと培養上清添加したディッシュの間に細胞数の有意な差は見られなかった。
  • コントロールと培養上清添加したディッシュともに多核の筋管の形成は実験開始後240時間(培養開始から合計300時間以上)見られなかった。
  • コントロールと培養上清添加したディッシュともに繊維芽細胞、神経様細胞、結合組織様細胞が観察された。

感想

今回の実験ではニワトリ胚骨格筋から単離した細胞を培養しました。

しかし、培養開始から300時間以上経過したにもかかわらず筋管の形成は観察されませんでした。

今回の実験では、予め筋管を形成している細胞集団の培養上清だけでは骨格筋細胞への分化誘導をできないことが示唆されました。

しかし、同じ細胞溶液を高濃度で播種したものは筋管の形成が観察されたため今後は骨格筋由来の細胞を異なる濃度で播種した時の影響を調べていきたいと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか、今回はニワトリ胚骨格筋由来細胞の培養というテーマで紹介しました。

次回以降も様々な実験を紹介していきたいと思いますので引き続きお付き合いいただけると幸いです。

また、ご意見ご質問等も絶賛募集中なのでよろしくお願いします。

心臓発生の特徴

こんにちは、すあまです。

今回は「心臓発生の特徴」というテーマを書いていきたいと思います。自分の体にある心臓が生物の体の中でできるときにどんな特徴を持っているのか、皆さんに知っていただけると嬉しいです。

 

心臓の発生の特徴

この記事では以下の3つの特徴について説明していきます。

  • 心臓への分化は非常に早い段階で起こる
  • 心筋細胞は分化と増殖を両立している

  • 出生すると分裂能を失う

心臓への分化は非常に早い段階で起こる

心臓は個体が発生する際、非常に早い段階で臓器としては最も早く発生し、すぐに自律拍動を開始します。

そして、体液が生体内で循環するようになって初めて他の臓器の文化や成長が進みます。

つまり、心臓は、生物の中で血液を循環させるという非常に重要な役割を担っていますが、この機能がほかの臓器の発生にも貢献しているということです。

心臓の発生の過程に関しては非常に多くの研究が行われていますが、まだその全貌を解明するには至っていません。しかし、その過程を明らかにすることが医療の応用などにつながっているので非常に重要な研究分野となっています。

心筋細胞は分化と増殖を両立している

2つ目の特徴は生物の体内で発生した心臓を構成する細胞が分化と増殖を両立しているという特徴です。

まず前提知識として、分化と増殖について紹介します。

まずはそれぞれの言葉の定義です。

分化
ぶんか
differentiation

生物の細胞分裂増殖し,成長する間に互いに構造や機能が特殊化する現象。一般的には比較的単一の系が,2つ以上の質的に異なる部分系に分離する現象をいう。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

増殖
ぞうしょく
proliferation

 
細胞が分裂して同質のものがふえることをいう。個体数のふえるのは通常,生殖 reproductionとして区別する。また多細胞生物の体内で細胞がふえていくことや,また細胞内で細胞質が新生していく場合には成長 growthとして区別するが,細胞がふえるという点からみると,多細胞生物発生期分化が起らない時期には,増殖といっても同じである。細胞が増殖して,ある時期に達すると形質が変化していく (分化) ように,制御されているのが常である。また細胞が独立して生活している場合でも,増殖は無限に続くことはなく,自然環境のなかで一定の平衡状態を保っている場合が多い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

 

 簡単に言うと、分化は細胞が機能を持つようになることで、増殖は細胞が分裂して増えていくことです。

多くの組織では分化する細胞と増殖する細胞が分かれており、増殖する未分化な細胞の一部が機能を持った細胞へと分化するという形式になっています。

しかし、発生段階における心臓では収縮と弛緩によって体液を循環させる機能を持った心筋細胞が分裂を続けているという極めて珍しい状況が起きています。

生物のサイズが大きくなるのに合わせて循環させる体液の量が増えるのにこの特徴は役立っているのですが、どういう仕組みでこうなっているのか不思議ですよね。

出生すると分裂能を失う

3つ目の特徴は心筋細胞は出生すると分裂して増殖する能力を急激に失うことです。

それに伴って心筋細胞内で発現するタンパク質が胎児型から成人型となり心臓が成熟していくのですが、この特徴によって、一度損傷を負った心臓は完全には回復せず移植などに頼らざるを得なくなります。とはいえ、生まれる前にできた心筋細胞がヒトの場合は寿命まで数十年、長い場合は100年以上動き続けるのは非常にすごいことです。

しかし、近年では心筋が生まれて後も分裂できる能力を持っていることを示唆する論文なども出てきているので、今後の展開に期待したいです。

まとめ

いかがだったでしょうか、今回は心臓発生の特徴というテーマをご紹介しました。非常に身近な心臓の不思議について興味を持っていただけたら嬉しいです。

心臓に関する論文もご紹介していけたらと思いますので、是非お付き合いください。

ニワトリ胚骨格筋由来細胞の培養

こんにちは、すあまです。

今回はニワトリ胚を用いて、骨格筋細胞の培養に挑戦したいと思います。

どうぞ最後までお付き合いください。

前回のおさらいと今回の実験について

実験日記の第1弾は「ニワトリ胚の全細胞培養」でした。

suama14.hatenablog.com

 

前回の実験で分かったことは

  • 細胞の接着率はコントロールとプラズマ処理で大きな差は見られなかった。
  • 細胞の増殖に関しても、コントロールとプラズマ処理で見た目では大きな差はみられなかった。
  • 培養開始から1週間経過した段階で形態が異なる細胞が数種類観察されたがその種類を同定することはできなかった。

という内容でした。

今回はそこから少し路線を変えて、ニワトリ胚を構成する細胞の中で特定のもの、骨格筋細胞の培養に挑戦したいと思います。

なぜ骨格筋なのか

次に最初に単離する細胞に骨格筋細胞を選んだ理由について説明します。

理由は大きく分けると3つあって、

  • 解剖の段階で採取しやすい
  • ひとつのニワトリ胚から多くとれる
  • 肉の原料といえば筋肉

というものです。

 

3つ目の理由に関してはこちらの記事で紹介しているので是非お読みください。

suama14.hatenablog.com

 

以上が今回の実験の趣旨に関する説明でした。

以降が実験の方法と結果です。

実験方法

  1. ニワトリ胚(11日胚)2個体から脚(計4本)を採取した。
  2. 脚の皮、骨を取り除き、筋肉を約1㎜³までカットした。

  3. 0.25%コラゲナーゼで処理(時間:30分)

  4. 上清を取り除き、50mLチューブに10mL入れて遠心

  5. 上清を取り除き、DMEM10mLで希釈

  6. 5の細胞液50uL+DMEM3mLをコラーゲンディッシュに播種

  7. 37℃、CO₂:5%でインキュベート

実験結果

本来ならば培養開始から写真を撮影するべきだったのですが、諸々の事情で培養開始3日後からの観察となりました、あしからず...

 

培養開始72時間後

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培養開始72時間後①

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培養開始72時間後②

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培養開始72時間後③

培養開始168時間後

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培養開始168時間後①

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培養開始168時間後②

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培養開始168時間後③

考察&結論

  • ニワトリ胚骨格筋由来細胞を培養することができた。
  • 培養した細胞は筋細胞のような繊維状の構造にならなかった。
  • 一週間たってもディッシュを埋め尽くすほど細胞が増殖することはなかった。

感想&まとめ

培養開始72時間後に細胞を観察した時に真っ先に思ったのは、細胞が思ったよりも増えていないということでした。

今までも筋細胞の培養に挑戦したことはあったのですが、72時間たっても細胞がディッシュを埋め尽くしていないことや細胞が繊維状になっていないのは初めてのことだったので、今後どのような条件が変わると筋細胞に分化するorしないの変化が現れるのか明らかにしていきたいと思います。

また、今回は載せていませんが筋細胞に分化したサンプルもあるのでそちらはまたの機会にアップしたいと思います。

質問等ございましたら是非ご連絡ください。




 

 

 

心毒性検査について①:心毒性検査の意味と行われる理由

こんにちは、すあまです。

今回は「心毒性検査」というテーマで書いていこうと思います。

 自身の専門と深くかかわっていることもあり、新薬が作られる際に心臓への影響をどのように調べているのかということについてより多くの方々へ発信できたらと思います。

そもそも心毒性検査ってなに?

そもそも「心毒性」という言葉自体を日常生活で使われている方はほとんどいないと思います。もし日常から使っている方がいらしたらたぶん競合なので仲良くしてください。

心毒性とは、薬剤(主に医薬品やその候補となる化合物)が心臓に与える悪影響(毒性)のことです。つまり、心毒性検査とは新薬を開発する際にその物質が心臓に対して毒性を持っていないか確認するために行われる試験ということになります。

心毒性検査はなぜ必要?

次に心毒性検査はなぜ必要か、ということについて書いていきます。

一言で結論を言うと「心臓への毒性は命にかかわるから」です。

心臓は生物にとって非常に重要な器官であり、心臓が止まることは生物にとって致命的です。そのため、新薬開発の際には心毒性を評価することがガイドラインで定められています。

実際に心毒性検査によって心毒性が認められ、市場から撤退した医薬品もあります。 下に実際に市場から撤退した医薬品を載せます。↓

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a:医薬品による有害作用、b:医薬品の市場撤退理由 (Clinical Pharmacology & Therapeutics 2011)

上記のように、報告された医薬品による有害作用や市場撤退理由において心毒性は決して無視できない割合を占めていることがわかります。(Cardiovascularは心血管系、Torsade de pointesは不整脈の一種で今後解説記事を出します。)

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は心毒性検査の意味と行われる理由についてご紹介しました。

今後も心毒性検査に関しては詳しく取り上げていきたいと思いますので是非お付き合いください。